弁護士による相続相談【弁護士法人心 厚木法律事務所】

遺言の効力範囲と効力が無効になってしまうケース

  • 文責:所長 弁護士 横江利保
  • 最終更新日:2025年1月8日

1 遺言でできることと無効になってしまうケースについて

遺言に関する一般的なイメージとしては、どの財産をどの人に取得させるかを決めることができる、というものがあるかと思います。

遺言は、その他にもできることがたくさんあります。

例えば、遺産の分割割合を指定したり、未成年の子の後見人を指定する、遺言執行者を指定するということも可能です。

ただし、適切な方法で作成をしないと、遺言は無効になってしまうこともあるので注意が必要です。

以下、遺言でできることと、遺言が無効になってしまうケースについて詳しく説明します。

2 遺産の分割方法の指定・一定期間の分割の禁止

遺言を用いることで、どの遺産をどの相続人に取得させるのかを事前に指定しておくことができます。

また、遺産の分割方法の指定を、第三者に委託することも可能です。

逆に、相続開始後の手続き等が落ち着き、相続人が冷静になってから遺産分割ができるようにするため、相続開始のときから5年以内の期間、遺産分割を禁止する内容の遺言を作成することも可能です。

3 相続分の指定

本来、相続人には法定相続分という遺産の取得割合が決められていますが、遺言を用いることで法定相続分とは異なる取得割合を定めることができます。

4 遺贈

遺言がない場合、遺産は法定相続人だけが取得することができます。

しかし、遺言を用いることで、法定相続人以外の方にも遺産を取得させることができます。

内縁の配偶者や、お世話になった知人、慈善団体等に遺産を取得させるということも可能です。

5 子の認知

認知していない子がいる場合、遺言によって認知をすることができ、その子を法定相続人に含めることができます。

6 未成年後見人の指定

未成年の子がいる場合で、もし遺言者が死亡すると親権者がいなくなってしまう場合には、遺言で未成年後見人を予め指定しておくことができます。

7 相続人の廃除

遺言者に対する虐待等の事情があり、廃除したい推定相続人がいる場合には、遺言によって排除をすることが可能です。

8 遺言執行者の指定

遺言者が死亡した後、遺産の名義変更等の手続きをする遺言執行者を指定することができます。

相続に関わる手続きには、専門的な知識や経験が必要とされるものもあるので、法律の専門家を遺言執行者に指定しておくと、相続人や受遺者の負担を軽減することができます。

9 相続人相互の担保責任の指定

相続した遺産に欠陥があった場合には、相続人はそれぞれの相続分に応じて、その欠陥がある遺産を相続した相続人が被った損害を賠償する責任を負わなければならないとされています。

遺言によって、この負担を負う人や、負担の割合を指定することができます。

10 遺言が無効になってしまうケースについて

実務上多く用いられる遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。

自筆証書遺言は、遺言者が手軽に作成できるという利点がある一方で、法律で厳格に定められた形式的な要件を満たしていないと無効になってしまうことがあります。

自筆証書遺言は、原則として遺言者が全文と日付、氏名を自筆で書き、かつ印鑑を押す必要があります。

また、相続人や受遺者の名前や遺産に関する記載が曖昧であると、名義変更等の手続きができなくなってしまい、事実上遺言が無効になってしまうことがありますので注意が必要です。

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